ワンルームより畏怖を込めて
どうも、僕です。
相変わらずコロナは落ち着きませんね。
最近、オナニーするぞ!って意気込んでる時以外元気はないですね。
なので、AVをBGMにして作業をすれば、効率が上がるのでは?と思い、AVを流しながら料理や読書、PC作業をしてみました。
オナニーの回数が増えただけでした。
旧盆も近く、沖縄にはいわゆる霊的なものが集まってくるシーズンになりました。
沖縄は激しい戦火を経験したこともあり、霊的なものと結びつきの近い文化があります。毎年、旧盆の時期には地上波でホラー作品が流れるのもその影響だと思います。ただでさえチャンネルが少ないのに、その一つのゴールデンタイムをホラーで潰す、よほど沖縄県民はホラーが好きなのでしょう。
そんな、沖縄で住む僕の話です。
前にもお話しした通り、僕の住むエリアは、沖縄戦ではかなり犠牲も出たらしく、地元の人は住まないとも言われています。
ただ、転勤族みたいな、県外からの転出民としては、僕の住んでいるマンションはかなり立地が良いのもあり、常に空室はない状況です。僕も偶然、702号室のみが、いいタイミングで空いており入居できたので、未だにラッキーだったと思っています。
引っ越してきて、このご時世、お隣さんのインターホンを押して挨拶をすることもなく、しばらくは両隣にどういった人が住んでいるのか知りませんでした。ただ、集合ポストに703の郵便物は溜まっていなかったで、人が住んでいるのだということは分かりました。
ただ、701については、ポストにも、部屋の投函口にも、「投函ご遠慮ください」とのテープが貼ってあり、郵便物は投げ込まれない状態になっていました。空き部屋ではないのに、不思議に思いました。
ベランダからは両隣のお隣さんの部屋の明かりが確認できますが、703は比較的点いているのに、701で点いているのは見たことがありません。
部屋の壁はそこまで厚くはなく、うちのマンションでは不定期的に、壁が薄いので物音には注意するよう、管理会社からのビラが入ります。近隣トラブルを避けるために、匿名でどこかの部屋の住民がチクっているのだと思います。
701からも703からも、特に生活音もせず、モラルのある住人でよかったなぁ、なんて思っていた矢先のある夜のことです。
仕事終わりに晩酌も終え、就寝前、部屋を暗くして、ベッドに入ると、701側の壁から
カン…カン…
と、何かを打つような音がするのです。
僕はベッドを701側の壁につけているのですが、その音は、不自然なリズムで、ある程度近かったり遠かったりするのです。最初はお隣さんが、パイプベッドで愛し合っている音なのかな、なんて思っていたのですが、それにしては音に奥行きがあり、移動しているようなのです。
カン…カン…カン…カッ…
数晩続いた頃、僕は701側に置いていたベッドを703側に移動しました。それからたまに小さく聞こえる異音は気にならなくなりました。
703のお隣さんには、住んで数週間後、エレベーターで乗り合わせました。人の良さそうな顔をした、中年男性でした。苗字が沖縄特有のものでなかったので、単身赴任で住んでいるんだろう、なんて身の上を勝手に判断しました。
数ヶ月経ったある日、701から出てくるお隣さんにも居合わせました。これまた人の良さそうな、初老の夫婦でした。身なりも綺麗で、ある程度金を持っていそうに見えたので、なぜこんな1DKに住んでいるのか不思議な印象を受けましたが、すぐにその疑問は解決しました。
エレベーターに乗り込み、名前を名乗るとお隣さんはこう言ったのです。「自分も妻ももう歳で、子供も自立してるので、たまに沖縄に来れるように借りてるんです。一応、まだ仕事はしてるんで週末しか来れないんですけどね。」
平日の夜、701側の壁から聞こえる、あの
カン…カン…
僕はその話を701の住人にすることもなければ、その正体を知ることもないんでしょう。
ただ、今日の夜にも、
カン…カン…
その音を聞こえないフリするように、耳を塞いで寝ることしかできないのでした。